AtelierUhyako うひゃこの日記

アクセサリー作家としての活動や日々の出来事を綴ります。

私が思う、シルバーの良さ  

今日は、シルバーと言う素材について、私の一個人的な思いを書きたいと思います。
これは、押しつけではありません。
あくまで私の思い、それは作品を制作するにあたって強く関わっているので、その思いを皆さんにお伝えしたく、長くなりますが日記に書くことにしました。

シルバー好きの方にとって、シルバーの良さは様々あると思います。
シルバーならではの白い輝き、それはどこか柔らかく温かささえ感じる人もいれば、シャープな印象でクールにカッコよく感じる方もいるでしょう。
そして、シルバーの輝きはもちろん素敵ですが、いぶし銀になった渋いシルバーを好む方も多くいらっしゃると思います。
また、鏡面仕上げ、いぶし仕上げ、白仕上げ、荒らし仕上げなど、様々な仕上げ方によって、同じデザインでも印象が変わり、それぞれの仕上げ方を好む方々がいらっしゃると思います。

この様にあらゆる表情を見せるシルバーですが、私は個人的に、アンティークジュエリーの、時と共に独特の風合いになったシルバーが一番好きです。
しかしこれを、一瞬で表現するのは大変難しい、と言うか、私はそれは不可能だと思っています。
何故ならそれは、真っ黒ではなく、皮脂や埃など様々な不純物を含んだ色で、そのシルバーが置かれていた環境で育ってきた色味であり、その「時と共に黒くなったシルバー」こそ、他の金属にない「シルバーの良さ」と私は思うのです。
勿論デザインも大きく関わっていると思います。
アンティークジュエリーが今この世に残っていると言う事は、それだけデザイン性が優れていて、代々持ち主を変え、価値あるものとして捨てられずに残ってきたからこそ、アンティークになれたのだと私は感じているからです。
そしてその結果、あの独特の風合いと色味が、魅力となって表れていると思うのです。

現代のシルバー物でも特にアクセサリーなどは、持つ人によって黒く硫化する具合が違います。
例えば、ほったらかしにしているのに余り黒くならない人、きちんとお手入れしビニールなどに入れているのに黒くなる人、色味も薄茶で止まる人、程よく綺麗に黒くなる人、全体が真っ黒になってしまう人、などなど・・・。
また、皆さん良くおっしゃるのが、使っていると黒くなりにくく、しまっておくとすぐ黒くなる、これは多くの方が経験済みと思われます。
そして、同じ黒くなるでも、使わずに黒くなってしまったものと、使いながら黒くなって行ったものでは、見た目の風合いが違う事も、実感されている方が多いと思います。
そう、それこそが、先に述べた、アンティークジュエリーの様な、時を経たからこそ得られる色味と風合い、その人がどう使いどんな環境でシルバーを扱っていたか、その環境でシルバーが黒く硫化し、使われ磨かれ、また硫化する。
私は以前からこれを、「シルバーが育つ」と表現しています。
そしてこの、「シルバーが育つ」事を楽しんで頂きたい、また、自然と硫化したシルバーの味を楽しんで頂きたい、その為には、お買い上げいただいた方々にシルバーを育てて欲しい、そんな思いを作品に込めて製作しています。

勿論、いぶし液を使い急速に黒くすることは可能です。
いぶし仕上げが好きな方は、あえて温泉に行き身に付けたまま入浴されて真黒に仕上げてしまう方もいらっしゃいます。
その効果と同じ事が、いぶし液を使うと出来ます。
ただ、それはやはり、時が経った不純物が混ざった硫化と違い、私にはどこか綺麗な硫化に見えるのです。
そう、古びた感じはなく、ただ黒く綺麗に仕上がった物、それは本来私が良しとする姿ではなかったのです。
なので、今までいぶし仕上げの作品は作ってきませんでした。
あくまで自然に硫化した、育ったシルバーの良さをお伝えしたくて。

しかし、今年に入って考えが変わりました。
いぶし仕上げは、アンティーク調に使われることが多いので、私の中で自然の硫化の模造品との解釈があったのですが、それは模造ではなく、黒く色を付ける事によるデザインの一部、と思えるようになったのです。
自然と流化し風合いが出るものとはまた別物、いや、元々別物と思っていましたが、私の中ではっきりとした区別が出来るようになったのです。
それをきっかけに、今年から、いぶし仕上げをした作品を作り始めました。
いぶしをかけたシルバーも、時が経つと、鏡面仕上げとはまた別の育ち方をすると思います。
曇りのない鏡面仕上げより変化は少ないかもしれませんが、それはまた違う味になってゆくのではないかと。

そして、私の作品はすべて、時が経ち黒く硫化した時に美しさが完成されるよう、計算してデザインしています。
ですので、鏡面仕上げや白仕上げなどの作品も、黒くなって良いのです。
と言うより、それを黒く育てて欲しいのです。
しかし、磨き上げてしまった作品からでは、そのイメージが掴めない場合もあります。
ですので今後、少しずつではありますが、ピカピカな状態と、いぶし銀の状態、2種類の仕上げを製作していけたらと思っています。
そうすれば、磨き上げられたシルバーが好きな方や、ご自身のシルバー色に育てたい方は鏡面仕上げの作品を、既に黒くなった物がお好きな方はいぶし仕上げの作品を、両方の違いを目で見て確かめ、お選び頂けたらと考えています。

また、綺麗に磨かれた状態をお買い上げいただいて、その美しさを維持したいと思う方も多いと思います。
そんな時は、いつでもおっしゃってください。
磨き直しなど、私の作品に限りますが、責任を持ってお預かりしメンテナンス致します。
場合によってはメンテナンス料を頂く場合も御座いますが、どうぞお気軽にご相談ください。

と最後は営業トークになってしまいましたが、長々と、勝手な個人的思いをつづらせていただきました。
一般的には、「買った状態を維持したい」と思うのが当たり前の心情。
それを「変化を楽しんで欲しい」と思うのは、私の勝手。
ならば、その両方を、お好きな方を選んでもらえば良いのだ!と。
簡単に言うと、そんな心の変化が作風に生かされましたよ、って話です。
たかがシルバーアクセサリー、されどシルバーアクセサリー、私はこんな小さな事に拘り自分と葛藤しながら、作品作りをしています。
もっと、軽やかに制作した方が、出来上がった作品の見た目も軽やかで良いのかもしれませんけどね。

お客様にとって何が必要で、何が不必要か、自分の思いが強すぎると見えなくなる事もありますが、誰も教えてくれないそんな心の在り方を、自分なりに考え成長しながら、良い作品を沢山作りたいと思います。

最後に、長い文章を読んでくださいまして、ありがとうございました。
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category: 素材について

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